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カフェに戻り、カウンターに座る俺の元に、二階の部屋から降りてきたロイが声をかけた。
「カトレアさん、落ち着いたよ。今は眠っているけどね。」
俺は、ロイに「そうか…ありがとな。」
と答えた。
「ドロシーちゃんは塔に帰ったのか?」
ロイの質問に、俺は頷く。
そして、すっ、と、カウンターの上に置いた“小さな箱”に視線を落とした。
……血で、少し汚れちまった……。
白い箱には、ところどころ、俺の赤黒い血が付いている。
……こんなもん、あげられないよな…。
すると、ロイが俺の隣に座って言った。
「なぁ…今度こそ、カトレアさんに気持ちを伝えるんだよな?」
俺は、その問いかけに、言葉を詰まらせた。
そのつもりで居たけど…
気持ちを伝えたところで、付き合ったり出来るわけではない。