すると彼女は、瞳を、ぽぅっ、と輝かせた。


彼女の体から、微かに魔力が感じられる。



「私…遺跡の外から、この“情報伝達魔法”を使って、ブラッドさんと話をしようと思ったんです…。

私の力じゃ、遺跡に入ったら二度と出られないことはわかってたので…。」



カトレアが、微笑みながらそう言った。



……ってことは、遺跡の中で俺が聞いた声は

外にいるカトレアが魔法を使って俺と話そうとした時の声だったってことか?



……なんだ……よかった………。



その時、ふっ、と体の力が抜けた。


そして、俺はカトレアの体を抱き寄せる。



「……っ!」



彼女が、小さく声を出した。


謝らなきゃ、今さらどんな顔で会えばいいんだ、嫌われていたらどうしよう

俺の中に渦巻いていたそんな感情を、カトレアが生きていた、という安心感がすべて消した。


ただ、彼女の温もりを感じたくなったんだ。