「カトレア………!」
俺は、彼女の名前を呼びながら、素手で瓦礫を持ち上げ始めた。
男といえど、たった一人の力では、ビクともしない。
今は魔法も使えない。
だんだんと、灰色の瓦礫が、赤く染まっていく。
「お兄ちゃん!手から、血が……!」
ドロシーが、俺をぐっ、と引っ張った。
俺は、作業を止めることはない。
ただ、何も考えられずに、持ち上がるはずのない灰色の瓦礫に、力を入れ続ける。
その時、ぐいっ、と、すごい力で肩を掴まれた。
そして、無理やり後ろを振り向かされる。
そこには、怒ったような、悲しそうな感情がすべて混ざり合ったような顔をしたロイの姿があった。
「………やめておけ。
………カトレアさんが、血に染まって泣いてる。」
見ると、手のひらから流れた血が、地面に置いた白い箱に落ちていた。
俺は、ピタリ、と手を止める。



