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はっ、と気がつくと、そこは見慣れた願いの町のカフェの前だった。
……なんだったんだ?
さっきの声は……。
誰だろう。
遺跡に響いた声は、崩れる音に混じっていたからはっきりとは聞こえなかったが
どこか、聞き覚えがあるような声だった。
……カトレアの声に似ていたような……。
そこまで考えて、俺はブンブン、と頭を振った。
いや、彼女があんな場所にいるはずが無い。
…声が聞きたすぎて、耳がおかしくなったのか?
ついに頭がカトレアで一杯になったとか…?
俺は、はぁ…と、息を吐いた。
気のせいだな、きっと。
俺は、深く考えることを止めて、カラン、とカフェの扉を開けた。
すると、カウンターに小さな女の子が座っているのに気がついた。
俺は少女を見て目を見開く。
「!ドロシー!…なんでここに?」
声をかけると、ドロシーは、ぱあっ、と
明るい笑顔を見せて、答えた。
「おかえりなさい、お兄ちゃん!
お兄ちゃんが心配で、来ちゃったの。」
俺は、そうかそうか、とドロシーの頭を
優しく撫でる。
すると、ロイが焦ったような顔をして、俺に尋ねた。
「なぁ、ブラッド。
カトレアさんと会わなかったか?」



