俺は、そう言いながら、考えていた。
そうだよな…。
あの事故で、心に傷を負ったのは、カトレアさんだけじゃない。
ブラッドが生きていると知らされる前は、ドロシーちゃんだって、深い悲しみの中にいたはずだ。
たった一人の肉親を失ったのだから。
帰ってくると、信じて、疑いもしなかったあの日。
尊敬していた兄が、帰って来なかった悲しみは、想像をはるかに超えたものだっただろう。
この小さな体で、必死に兄の帰る場所を守っていたこの子は
もう立派な、塔の守護者へと成長した。
六年は、速くて重い。
ブラッドは、その重みを、ずっと心に抱えながら生きてきたんだ。
……そりゃあ、罪悪感で押しつぶされそうになるのもわかる。
俺は、しゃがんで、ドロシーの顔を見つめた。
「ブラッドのことを信じよう。
あいつは、あの落盤事故からも生還したんだ。これぐらいじゃ、死んだりしないさ。」
俺の言葉に、ドロシーが頷いた。
その時だった。



