ロイは、その言葉を聞いて、俺に言った。
「お前は、どうしてそう、理性的なんだ?
惚れた女を、何としてでも自分のものにしたいとか、思わないのか?」
俺は、その言葉には答えず、コーヒーをすすった。
ロイは、ふぅ、と息を吐いて、「どうして自分の気持ちに、リミッターをかけるかねぇ…」なんてボヤいてる。
…仕方ないだろ。
カトレアの生活をかき乱して、悲しい思いをさせるのは、もうこりごりだ。
彼女の誤解を解かないままにしておいたせいで
俺が亡くなったと思い込んだまま、苦しめて、悲しみの底に突き落としてしまった。
こんな、またいつ本当に死ぬかわからない俺の側に居たって、彼女が幸せになれる保証なんてない。
二度、俺が“死んで”
二度悲しみを味わわせることになるだけだ。
…そんなことはしたくない。
俺は、コーヒーを飲み干すと
すっ、とカウンターから立ち上がった。
「じゃあ、行ってくる。
…色々言ってくれてありがとな、ロイ。」



