「この部屋では見てないけど…。」



ドロシーが首を傾げながら言った。


あの指輪…どこにいったんだっけ?


思い出せ……俺。

あの日、どこに指輪を持って行ったんだ?


必死で記憶を辿る。


この部屋にないってことは……。

あの日指輪を持って、外に出たのか?


あの日は、カフェに予約を取りに行って…

そしてそのまま任務に出かけた。


……カフェに置いて行ったのか?


ロイに聞いてみれば、何かわかるかもしれない。


俺は、ふぅ、と息を吐いて、ドロシーに言った。



「明日、ロイのカフェに行ってくる。

……なんか欲しいものあるか?」



すると、ドロシーは、にっこりと笑って
「ココアが飲みたい!」と答えた。


……明日、カフェに行ったら指輪のことを聞いて、ココアの粉をもらってこよう。


俺は、鍋をかき混ぜながら、頭の中で明日の行程を練ったのだった。