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「そういえば、一週間前、フィオネさん達がこの町を出たんだよ。」



二人並んでキッチンに立ちながら、ドロシーが言う。



「へぇ、そうなのか。本当に二人とも無事でよかったよな。」



最果ての丘の一件で、この町に滞在する時間が長かったからかな。

ゼロ達と共に闘った記憶が、まるで昨日のことのようだ。


その時は忙しかったから、この塔に来ても寝るぐらいで

ドロシーとゆっくり話す時間が無かったな。


すると、ドロシーが、はっ、としたように俺を見た。



「そういえば、カトレアさんが昨日、塔に来たんだよ。」


「…………………えっ?!」



俺は言葉の意味を理解するまで数十秒かかった。


カトレアが、この塔に?


何でだ?



俺が?を浮かべていると、ドロシーが
棚に飾ってある花を指差しながら言った。



「あれを、お兄ちゃんのお墓に供えて下さいって。

お兄ちゃんまだ生きてるって伝えてなかったの?」