私は、レオの方を向いて言った。



「今日はありがとう。

本当に楽しかったわ。」



すると、レオは、ふっ、と笑って答えた。



「うん。……俺も。

また誘う。」



レオの言葉に、私は胸がきゅっ、と小さく締め付けられる。



……また、“次”があるんだ。



私は、まだレオと話していたい気持ちを押し殺して、彼に手を振って、酒場へと入った。



カラン、と、扉を閉めると

ふぅ…と、息を吐いて、胸に手を当てる。



………まだドキドキいってる。


はぁ……困ったなぁ。


ビビたちの言った通りになっちゃった。



“レオ様のこと、好きなんでしょ?”



明日、根掘り葉掘り聞かれるんだろうな。



……まぁ、楽しかったから、いいかな。



私は、胸のドキドキを押さえながら、店の奥へと入って行った。



その頃。


レオは、都市の町並みを歩きながら

ふぅ……と、白い息を吐いて小さく呟いた。



「ちぇ……。いいとこで時間切れかよ。」



一月の風が、ひゅう、と酒場の窓を揺らし、空には月が輝いていた。