「つき合ってよ」

机に腰掛け窓を背にして、
あんたは私にそう云った。
いつも見栄はるあんたらしく
澄ましてすんなりそう、云った。
だけど顔には少しもね、
余裕なんか見えないの。
後ろの夕陽がかすむくらい、
紅葉みたいに染まってる。
真っ直ぐ私を見てるけど、
今すぐ反らしたいんだね。
だから私は

「どこに?」

柔らかに笑いながら
アンタはそう、応えたな。
……子供に見せる笑顔だな。
きっと全て解ってて、
アンタはワザと。
オレをからかう為に。
オレが慌てると思って。
まだ笑ってるんだな。
アンタはいつも余裕だな。
あァそうさ、そうだよ。
わかんないよ、
どうすればイイかなんて。
……だからオレが、
こんなこと言うのは……
……アンタのセイだからな。

「好きなんだよ、アンタを」