そんな私を見て
ククッと喉で笑いながら

部長はそのまま私に近づいてきて






-------ポンッ







私の頭に手を置いた。





(なっ…!)





私はまた 何か悪戯されたり
馬鹿にしてくるのかと思って

勢い良く顔を上げる。



しかしそこには…






(----------!!)







あの王子様スマイルとも違う

俺様な怪しい笑みとも違う




今まで見たことない
本当に、優しい笑みを浮かべて
こちらを見る部長が そこにはいた。






-------ドキッ、ドキッ…






私がそんな彼に固まっていると

それを気づく様子もなく
部長はそのまま「よし、朝飯食うか。」と言って

寝室を出て台所へ向かって行った。







(-----な…!)






何だよあの微笑み…!!


人生で初めて
人の笑顔の背景に 輝きが見えたよ!

花畑広がってたぞ!
何だあの能力!!






(……あれ、でも…。)







昨日のことを思い出していて思ったけど



何であの時
部長はあんなこと言ってきたんだろうか。





お酒のチカラ?

いやでも色んな理由述べてからの流れだったからなぁ…



ってことは、ノリ?


え、もしかしてまた私
部長と"ノリ"っていうか流れでやっちゃった感じ?







(……だって部長が私のこと好きなんて
ありえないもんなぁ…。)







だってあの部長だぞ?



同じ人間とは思えないほど
美しいルックス持ってて

あの若さで部長するくらい仕事できて

まぁ裏を見なければ…王子様みたいな紳士(仮)な感じだし





そんな会社のアイドルが…







(-----ないな。)






まさかまさかまさか。

そんなことあるわけないっすよね。







「………。」









そうは頭で分かってるんだけどなぁ。


……何か

何かわかんねぇけど











……寂しいなぁ。