「……は?」






私は思わずそんな声をあげてしまった。




只今、久しぶりに彼に資料室へ
資料を運ぶ手伝いを押し付けられたところで


資料を仕舞いながら
私は隣に立っている彼を見上げる。








「だから、同棲しないかって言ってんだよ。」







-----そう、この一言が原因。








「ど、同棲って…えぇ?!」







誰もこの部屋にいないのをいいことに
私はそんな声を上げる。




---すでにあの家族での食事会から
1ヶ月が過ぎたあたりだ。


今私と彼はお付き合い2ヶ月目に突入した頃で。





そんな2ヶ月も経ってないカップルが
同棲してるなんて話

私の周りから聞いたことがないんですけど。




あのかなり続いてるマユコさんカップルでさえ
普通に別々暮らしなんですけど…。







「早すぎだよ。」

「そんなことねぇだろ。
お前の周りにもいるだろ?」

「いないよ。聞いたことない。」

「でもどうせ結婚したら同居だぞ。」

「いやでも私たちまだ結婚してないし。」

「じゃあするか?」

「そういう問題じゃないでしょって!」







(……はぁ…。)







言ったら聞かない彼の性格は分かっていながらも

さすがにこういった問題は
もう少し慎重にいきたい。



同棲なんて
そんな簡単に考えていいことには思えないし…


一緒に生活する上で
いろいろ問題があるわけだし…。







(泊りとは違うんだからさ…。)








「すぐにはそれの返事はできないよ。」

「したいか、したくないかだけだろ。」

「そんな簡単に決めていいことじゃないでしょ?」

「いい。
何回も泊まり合ってんだ。いっそ一緒に住んでも一緒だろ。」








と、彼は私に説得してくる。



確かに頻繁に泊まりには行ってるけど

だからってそれで決めて良いのかな…。







「んー…とりあえず保留!」

「はぁー?」







私から承諾が降りるものだとばかり
思っていたらしい彼は

私の返事に
納得いかない様子でいた。




しかし私はそんな彼を置いて
資料室を後にする。








(んー…これはマユコ様にご相談だなぁ。)







どうしたものかねぇ。