女の子の父親は最悪だった。


母親である彼女は、彼に裏切られたショックから立ち直れなくなっていた。

部屋に引き込もり、月日が流れ、後戻りが出来ない体になっていたのだ。


そう、堕ろすという選択肢は、もうなくなっていたのだ。
産むしかないと医師に言われ、仕方がなく産むことを決めた彼女。


しかし、現実はそう甘くはなかった。


学校は退学になり、親には縁を切られ、唯一の味方は祖母だけだった。


桜が咲き春が来ると、彼女は18歳になった。

心身共にボロボロになった彼女は、やがて憎しみを抱くようになった。
そして、その矛先は、お腹の中にいる赤ん坊に向いた。


自殺を図った彼女。
意識は朦朧とし、祖母によって病院に運ばれた時には、母子共に危険な状態だった。

何時間がたっただろうか。
心配そうに部屋の外で待つ祖母の耳に飛び込んできたのは、元気な赤ん坊の声。
それから、慌て出す医師達の声。
医師達は赤ん坊を優先した。彼女の身体の状態があまりにも酷すぎたからだ。

しばらくし祖母は亡くなった彼女の子供を抱え、病院を後にした。