「だから、泣くなって」

喉が苦しくて、何も言葉を紡げない口は虚しく、まるで沖に揚がった魚のように、開いては閉じての繰返しだ。


「...全部、俺が悪いから。もう、俺とお前の幼馴染みって関係を壊すだなんて言わない。もう、お前が嫌がるようなことはしない。お前が幼馴染みとしての俺が良いなら、ずっとそうする。それで、ずっとお前の側にいれるなら。それでいいから、だから、泣くなよ。」


そう、胸が痛くなるような、弱々しい声で彼が言う。しゃくり泣きながらも、思わず顔を上げて彼を見れば、彼は片手で顔を覆っていた。


「....お前に泣かれたら、俺...」

"どうしていいか、わからなくなる"そう彼は、小さく呟いた。

私よりもずっと大きい彼が、なぜだか小さく見えて、私は彼を強く抱き締めた。