肌を刺すような冷たい風に、首に巻いてあるマフラーを少しだけ上げる。 「ごめん」 そう言って霞んだ夜空を見上げる彼は、まるで一枚の絵のように綺麗で、その瞳にはいったい何が映っているのか、私にはわからなかった。 「...好きになって、ごめん」 そんな彼の言葉に、私はただただ胸が苦しくなった。 「私も、すきだよ」 そう言えば、視線を落とした彼は、私を見つめて。"ありがとう"と、やるせない表情で、それは優しく笑った。