「おしとやかそうで、女の子らしいね。すごく可愛い!」



女の子はそう言って、またニコっと笑った。


か、可愛いって言ってくれた………?



今まで散々、水原くんと釣り合わないって言われてきたけど、初対面の人が、可愛いって言ってくれた………!?




少し感動して放心状態になっていると、水原くんが口を開いた。



「紗奈、この人は井上七海(ナナミ)。中学の同級生。井上、こっちは雪川紗奈」

「初めまして、紗奈ちゃん!七海って呼んでね!」



そう言って、またニッコリした。


うわあ、可愛い………。



やっぱり、わたしより全然可愛い。


同性なのに、ドキッとしちゃう。



「は、はじ、めまして………」



わたしも途切れ途切れに挨拶した。




「なるほどね、透、こういう子がタイプなんだ!どーりで上手くいかなかったわけだっ!」



………ん?


上手くいかなかった………?


「ちょっと、井上」


「ごめんごめん!あ、じゃああたしそろそろ行かなきゃ!じゃあまたね!」




七海ちゃんはまたニコっとして、走っていった。




………なに、この感覚。


なんか胸に、引っかかってる。