「ここは...」 風に乗って磯の香りがする。 海に面した公園。 2週間前に藤井さんの代わりに撮影を行った場所だ。 懐かしくて、ふらりとあたりを見回す。 藤井さんはほんの少しずつ距離をとって、私から離れる。 「志保」 間違えるはずがない。 ずっと会いたくて、恋い焦がれていたあの声。