教室の窓の桟に顎をつけ、男子たちがはしゃぐ校庭を眺める。



「おーい、なお?

焼きそばパン買ってきたぞー」


「んー。置いといてー」



背後からの勇人の声にそっけなく返す。



「ったくよー。オイルかぶったくらい、気にすんなよー」


「っ! 気にするでしょ普通!」



クラスメイトの言葉に食い気味に反応する。


今日の4限は車のエンジンを扱う授業だった。


集中していなかったわたしは、オイルが収納してある棚にぶつかり、もろにかぶってしまった。



またオイル臭い作業着と付き合わなきゃならない...。



「なあ、松永変わった?」

「それ思った。いつもなら炭水化物の塊の焼きそばパンにがっつくのにな」

「最近、雰囲気変わったとしか思えねえ...」



”可愛くなったけどな!”


という声が聞こえてきそうなくらい、クラスの男子は直を見つめる。