【完】午後7時のシンデレラ




徐々に彼との間合いが近くなる。


彼がそっとわたしの両頬に手を添える。


心臓がばくばくとうるさい。



これは演技。

これは演技。



落ち着けわたしっ!!


自分に必死で言い聞かせる。

それでも彼の端正な顔立ちはすぐそばまで来る。


覚悟して、ぎゅっと目をつむる。



やわらかい唇の感触を得る。



「はいっ、オッケーです」


スタッフさんの声が遠くで聞こえる。


そっと目を開け、恭弥くんを見上げる。



「なんで...」



触れたのは、おでこ。

恭弥くんはそっとわたしのおでこにキスを落とした。



「なんでって...かわいかったから」


さらっと口にし、愛おしそうにわたしの髪に触れる。


ああ、もうだめ。

恭弥くんが好き。



彼のコートに触れようと、手を伸ばす。