徐々に彼との間合いが近くなる。
彼がそっとわたしの両頬に手を添える。
心臓がばくばくとうるさい。
これは演技。
これは演技。
落ち着けわたしっ!!
自分に必死で言い聞かせる。
それでも彼の端正な顔立ちはすぐそばまで来る。
覚悟して、ぎゅっと目をつむる。
やわらかい唇の感触を得る。
「はいっ、オッケーです」
スタッフさんの声が遠くで聞こえる。
そっと目を開け、恭弥くんを見上げる。
「なんで...」
触れたのは、おでこ。
恭弥くんはそっとわたしのおでこにキスを落とした。
「なんでって...かわいかったから」
さらっと口にし、愛おしそうにわたしの髪に触れる。
ああ、もうだめ。
恭弥くんが好き。
彼のコートに触れようと、手を伸ばす。

