【完】午後7時のシンデレラ




公園に着き、海が臨めるフェンスの前に立つ。

大きな船がゆっくり浮かんでいる。


昼間とは違う、なんだかオトナな雰囲気が漂っている。


この公園は何度か来たことがあるけど、夜はあんまりないかも。



しかも男の人と。



遠くでキラキラ光る夜景に星空。

公園の街灯はやんわりと光っている。


隣の彼をそっと見上げる。



「なあ、志保」


「ん。どうしたの?」



彼は右ポケットに手を突っ込み、何かを取り出す。

それは水色の下地に、白の細いストライプ柄の小さな紙袋。



「やる」


「...や、そんな...」


「いいから。受け取って」



「ありがと」と控えめに言い、紙袋を受け取る。



「開けていい?」



彼は黙って頷いた。

心なしか照れ臭そうに見えた横顔は、まっすぐと景色を見ている。