「あはっ、ごめんね。しんみりさせちゃった」
誤魔化すように笑顔を作り、場を持ち直そうと試みる。
「なんで?」
すると静かな、真剣な声がかけられる。
「自分が夢中になってるもんを、恥じる必要あるか?
俺だって、写真撮るのが好きだよ。
カメラをいじるのが好き。
自分と相手、お互いに満足できるものを撮りたいんだ。
だから俺は人が夢中に真剣にやっているものを決して笑わない」
優しく語りかける彼。
その言葉を聞くと、わたしの思いを共有してくれているのだと思える。
「...ありがと」
思わず泣きそうになる目をこすり、軽く鼻をすする。
「ばか。泣くなよ。メイク落ちるぞ」
「泣いてないよっ」
ぽんと頭の上に乗せられた手が、愛しい。

