【完】午後7時のシンデレラ




「あはっ、ごめんね。しんみりさせちゃった」



誤魔化すように笑顔を作り、場を持ち直そうと試みる。




「なんで?」



すると静かな、真剣な声がかけられる。



「自分が夢中になってるもんを、恥じる必要あるか?


俺だって、写真撮るのが好きだよ。

カメラをいじるのが好き。


自分と相手、お互いに満足できるものを撮りたいんだ。


だから俺は人が夢中に真剣にやっているものを決して笑わない」



優しく語りかける彼。


その言葉を聞くと、わたしの思いを共有してくれているのだと思える。



「...ありがと」



思わず泣きそうになる目をこすり、軽く鼻をすする。



「ばか。泣くなよ。メイク落ちるぞ」


「泣いてないよっ」



ぽんと頭の上に乗せられた手が、愛しい。