お医者さんみたい、という言葉がなんだか嬉しい。 そんな感慨に浸っていると 「志保、いつもそれ持ってんの?」 ふと隣に恭弥くんが立っていて、わたしの工具セットに手を伸ばす。 「ああっ...えぇと、これは...」 彼の言葉に戸惑っていると、右手にドライバを持ったままだと気づき余計に慌てる。 不思議そうに見つめる彼を、恐る恐る見上げる。 「やっぱり、変だよね。 工具持ち歩いてるとか...」 頭の中に、高校のメンバーが ”おまえ、女じゃねーよ” わたしに言った言葉を思い出す。