パシャ。



気づけば、シャッターを切る音が耳に届く。


視線を感じ、その方を見ると黒のレンズがわたしを見つめている。


カメラから顔を離すと、恭弥くんの漆黒の瞳が現れる。



「ごめんなさいっ、急に走り出して...」



駆け寄って彼に謝ると、むにっとほっぺを引っ張られる。



「ばか。急に乗り込む奴がいるかよ」


「い、いひゃい...」



マネージャーさんの時ほどではないが、少しほっぺが痛む。



「ごめんな。助けに行かなくて」



わたしは頬を押さえて、彼を見上げる。


その瞳は咎めるようなものではなく、寂しそうな色を含んでいる。