やばい、このままじゃナンパが...。


ちらりと二人のナンパ男に目線を配る。

二人は突然の男子高生の大群に恐れおののいてる模様。



「そ、そのカバン...

キミ、もしかして”ハイコー”?」


わたしの首根っこを掴んでいる、勇人のカバンを指してつぶやく。


「あ?だったらなんだよ」


眉根を寄せてどう見ても、喧嘩腰に答える勇人。


「じゃ、じゃあ、キミ...男だったのーっ?!」


驚愕の表情を浮かべたまま二人のナンパ男は逃げ出す。


「あっ、ああ...」


待って、と手を伸ばすも二人は立ち止まってくれず、そのまま視界の中から消えた。


「へっ。口ほどにもねえな。

な、なーおっ」


ヒーロー気取りにそう言うと、彼はわたしの顔を覗き込む。



「...ゆうとの...ばかーっ!!」