「よし。じゃあ、撮影始めるか」 先ほどのスタッフさんとは違う、口の周りにヒゲを生やしたおじさんが口を開く。 彼の言葉にまた心臓が跳ねる。 本当にいいのかな。 偽物のわたしが、写真を撮られても。 罪悪感ゆえに躊躇する。 やっぱり、本当のことを言うべきだよね。 覚悟をして前を向く。 「———おっし。じゃ、お前いけっ」 ヒゲのカメラマンさんが隣の男性の背中を押す。 「おっ、わっ」 バシッと叩かれ、威力に負けた彼は前のめりになってつまずいた。