ここって本当にモデルの世界なんだ。 レフ板を持つ人や、カメラを覗いて微調整する人。 「あれ、志保ちゃん」 撮影風景に見入っていると、スタイリストさんの声に引き戻される。 前を向いた瞬間、鏡越しに彼女と目が合う。 徐々に彼女がわたしの顔に近づく。 心臓がばくばくと大きく鳴る。 「何、ですか...?」 ばれた? 藤井 志保じゃないって...。 すると彼女は、きゃはっと明るく笑う。 「太った?」