「全く、何考えてんだ!撮影前にいなくなるなんて...

聞いてるのか志保!」


すいません、全く耳に入りません。


そう答えたくても、彼がまとうマジギレオーラに敵わない。


なんで藤井さん、逃げ出しちゃうのよーっ。


心の中で叫んでも、どうしようもならない。


マネージャーさんらしき人に、引きずられるようにして着いた場所。


こんな張り詰めた空気じゃなかったら、のんびりと海を眺められそうな公園だった。



今日は天気がいいので、子供たちが遊んでいたり、犬を散歩する人、またカップルの姿も見える。



「申し訳ありません。ご迷惑をおかけいたしました」



マネージャーさんはそこで待っていたスタッフさんに頭を下げる。


小声で「志保っ」と怒鳴られ、わたしも頭を下げる。