ねぇ、松風くん。



私の隣に座っていたはずの夏帆ちゃんの姿はそこにはなく、代わりに見た事のない男の子が私を迎えてくれた。


「あ、あの…夏帆ちゃんは?」


入り口に立ち尽くしたまま話しかける私に、”とりあえず、座ってよ”と自分の隣を指差す。


どうする事も出来ず、戸惑いながらもゆっくりと隣に腰を下ろした私を見て満足げに笑った後、


「俺、成宮 潤 -ナリミヤ ジュン -2組だから隣のクラスなんだけど…知らないっしょ⁇」


そう自己紹介をした彼は、なぜか少し悲しそうな顔をした。


「ご、ごめん。私 自分のクラスの男子もあやふやなレベルで…。」

「やっぱりね!全然…むしろ、これから知って貰えればいいから。俺のこと。」

「え?」


本気とも冗談とも取れるその目は、私を捉えたまま。


「…あ、あの、成宮くん」

「潤でいいよ、優ちゃん。」


彼はどうやら私のことを知っているらしい。


一見、黒にも見える深い青色に染められた髪、左耳にシルバーのピアスが1つキラキラ光っている。

笑うと両頬に出来るエクボが、どこか可愛らしい印象を与える。