ねぇ、松風くん。



カラオケはどんどん次から次へと流れて、1人で歌う人、男女でデュエットする人、アニソンですっかりワールドを繰り広げている人。


もちろん、私は空気と化しているため、マイクは回ってこない。


まぁ、回ってきても断じて歌うつもりはないんだけど。何だかんだ世渡り上手な菜穂はマイクを回され1曲披露していた。


「…あ。」


…ふと視線を感じて顔をあげれば、ちょうど向かい側に座っていた男の人と目が合う。


うっそ。

……松風くん?気づかなかった。


私と目が合った松風くんは、少し驚いたような顔をした後、軽く手を上げてくれた。


私も周りに気付かれないように軽く手を振って微笑んだけれど、松風くんの隣をキープしている彩ちゃんが松風くんに話しかけたため、松風くんは彩ちゃんへと視線を移してしまった。