6月。

いくら梅雨の時期とは言え、ジメジメ蒸し暑い中、さらに雨まで降られてはすべてのやる気を持っていかれそうになる。


「やっべ、雨スゲー!!」


斜め後ろから聞こえた男子生徒の声。大雨に嫌気をさしているのかと思えば


「超テンションあがる!!」


…どうやら違ったみたいだ。まぁ、雨が好きって人もいるもんね。私には到底 理解できないけど。

バイトの時間も迫ってきたし、そろそろHoney caféに向かおう。


そう思って右足を一歩踏み出した時、


「あっれ?…ホラ、えっと!優ちゃん!だよね?」


聞こえてきたのは、さっき雨にテンションが上がっていた男子生徒の声。


まさか、知り合いだったとは…と思いながら静かに振り返れば”やっぱり!”と目を細めて笑う高瀬くんがいた。