ねぇ、松風くん。



「…急にごめん。」


私の真ん前まで歩いてきた松風くんは、歩くのをやめて私を真っ直ぐ見つめる。


一瞬で鼓動は早まって、もう口から心臓でそう。


「ううん、本当は私も会いに行こうと思って家出たところだったんだ。でも、バイトまだ終わりの時間じゃないよね?」


そう呟けば、私を見つめる松風くんの瞳が一瞬 揺らいだ気がした。


「早川が、後はいいから佐々木さんに会いに行けって。」

「は、早川くんが?」


意外な人物の名前が上がって、大声をあげた私に、相変わらずなトーンで


「…俺、佐々木さんに言いたいことがあって来た。」


そう呟いたあと、”俺から話していい?”と表情を崩す事のない松風くんに、こっちまで緊張してしまう。

好きな人がクリスマスに会いに来てくれて、言いたいことがあるなんて言われたら…


期待しない女の子はいるのだろうか。


「…なに?」


緊張をほぐすように笑顔を作った私を見て、松風くんは唇を噛み締めた。