ねぇ、松風くん。



ーーーーープルルルル


!?


玄関を出てすぐ、家の真ん前で私のスマホは着信を知らせる。


「…んもぉ!急いでるのに…」


コートのポケットを漁ってスマホを取り出した私は液晶画面に表示された文字に一瞬 呼吸を忘れた。


【着信▶︎松風くん】


「…う、嘘でしょ!ちょ!…も、もしもし。」


寒さでかじかむ手で応答方向に画面をスライドさせ、耳に押し当てる。


「……もしもし、佐々木さん?」


受話器越しに聞こえる松風くんの声に今さら心臓はドクドクと音を立て始めた。


「…松風くん…ば、バイトは?まだ20時前だよ。」

「……うん。」


平常心を装って言葉を紡ぐ私に、質問の答えになってないよ!と、突っ込みたくなるような返事をした松風くんの声は少し強張っているようにも思う。