顔を上げると、そこにはまさに太陽のように笑う大樹がいた。


「…お前ら、校門のど真ん中でなにしてんの?」


真っ白なシャツをキラキラさせて、大樹は眉間にグッとシワをよせる。




「……」



奈々子はあたしを抱きしめたまま、ジロリと大樹を見上げた。


出た。
いつもの2人の会話。

いつも一言多いこの2人。
だけど、そこにはちゃぁーんと『愛』がある。

大袈裟かもしれないけど、でもそんな2人の言い合いがホッとする。

次はどんな言葉が降ってくるのか。
しっかり止めに入る準備をする。




「んじゃ、お先ー」




……え? あれ?



「大樹?」


ヒラヒラと片手を上げて、大樹はさっさとあたし達をすり抜けて校舎の方へと行ってしまった。


「なに、アイツ。……変なの」


キョトンとして奈々子に視線を送る。


「……ん」


奈々子は、そんなの関係ないって言うみたいにあたしから距離をとった。

その表情は、奈々子の綺麗な髪に隠れてはっきり見えないけど……。


だけど……。




「……どうしたの? 奈々子」


「…………」



あたしの声に、ビクリと肩を揺らした奈々子。


そっか…。
きっと、大樹に告白をしたんだ。




知らないうちに、何かが変わってく。

あたしも、逃げてばっかりじゃダメだよね。
ちゃんと、しっかりしなきゃ……。