聞こえた。


今、確かに聞こえた。



「……ぁ……う……」



……どうしよう。



体に力が入らない。


金縛りにあったかのように
体の自由を奪われてしまったあたしは
その場から動けなくなってしまった。


でも
わかるの。



確かに後ろにナニカがいて
あたしを見てる。


あたしの顔を覗き込んでる。



それは、とてもとても……怖い……



―――憎悪


憎しみ
悲しみ

愛情……


そのすべてがグルグル渦巻いていて

あたしに何かを伝えようとしてる。




長い髪が見える。


風なんかないのに
ふわりと感じる。



なに?


なんの匂い?



頭の芯がピリピリと痺れていく……

どうしよう……
あたし……この香り知ってる……







目の前が暗くなっていく



そして


あたしの意識は、そこで途切れてしまった。