弘人を私のアパートに泊めてから、かなりの日数が経った。
彼からは一向に連絡が来ない。


電話はおろか、メールのひとつもくれやしない。


会いに来てくれたときは、すごく優しかった。
一人になりたくないと訴えたときも、躊躇することなく「それならここにいる」と言ってくれた。


彼は極端だ。


距離が遠いときは頻繁に連絡をくれたくせに、いざ縮まってくるとなかなか連絡をよこさない。
それに寂しさを感じてしまっているから 、どうしようもない。


目が覚めて、夜にはいたはずの弘人がいなくなっていた時。
言い知れぬ虚無感に襲われた。
それは、敦史と離れる決意をしたあの時と似ていた。


弘人はもう私に連絡をよこすつもりなんかないような気がした。


彼にとって、私は単なる『偽恋人』。
家族や親戚のおせっかいから逃れるための、その場しのぎの嘘に使われるだけの存在。
私だって同じなはずだった。


立場は同じだったはずだけど……。
今は違う。







『ねぇ、佑梨?本当の本当の本当に!そろそろうちに帰ってきなさいよ!』


この母の言葉もだんだんお決まりになってきて、むしろ最近は語気が強くなりつつあるのだ。