どしゃ降りの雨の中、駐車場を走って車の中へ体を滑り込ませた俺は、先ほどスーパーで会計を済ませた買い物袋をドサッと助手席に置いた。
エンジンをかけて、運転席のシートにもたれてフロントガラスを見つめる。
濡れたフロントガラスに映る駐車場は、雨によって規則的に設置された電灯さえもぼやかしていて。
視界いっぱいに雨が広がる。
『恋人関係を解消してください』
確かに佑梨はそう言っていた。
そして、俺が何かを言うよりも先に、彼女は一方的に電話を切ったのだ。
トントントン、とハンドルにかけた右手の人差し指でリズムを刻んだ。
━━━━━なんで、突然。
トントントン。
━━━━━1ヶ月近く連絡しなかったから?
トントントン。
━━━━━もしかして、「敦史」って男が彼女の元に戻ったのか?
トントントン。
━━━━━17年も彼女を2番目にしてきた男が、本当に彼女を選ぶのか?
トントントン。
━━━━━佑梨は今、笑ってるのかな。泣いてるのかな。
ダメだ。気になる。
面倒くさいって思ってたのに。
バカか、俺は。
行き先はひとつしかない。
彼女のアパートに向かうため、車を発車した。



