その孤独感がいけないのかな。
そんなことを思っているから、寂しそうな顔をしていると弘人に言われたのかな。
だから浅野さんにつけこまれたのかな。
この女なら簡単に引っ掛かると思われたのかな。
水筒に入れていたお茶を飲んで気を取り直して仕事を再開しようとした時、私の携帯の振動が机に響いた。
━━━━━弘人?
携帯を手に取ると、美鈴からの着信だった。
画面を見つめたまま固まっている私に、吉川さんがニヤニヤしながら尋ねてくる。
「なになに~?そんなに誰かさんからの電話待ってたの~?いいよ、出なよ~」
「幼なじみの女友達からですよ」
「な~んだ。男からかと思った」
「そんなのいないですから」
あはは、と苦笑いを返して、美鈴にはあとで折り返し電話をかけようと携帯はスカートのポケットにしまった。
バカね、どうしちゃったの私。
どうして弘人だと思ったの?
キスごときで意識し出すなんて、高校生じゃないんだから。
もう叶わない恋をして誰かに依存するのはまっぴらだ。
また何年も何年も無駄な時間を過ごしてしまう。
それに、彼にはおそらく忘れることのできない人がいるんだから━━━━━。