『合コン?』
電話口で少し驚いたような弘人の声が聞こえた。
「うん。合コン。行ってもいい?」
『別に俺に許可とらなくても。お好きにどうぞ』
念のため彼には言っておいた方がいいのかな、と思って聞いてみたものの。
予想を裏切ることなく、弘人は躊躇いもせずに即ゴーサインを出してきた。
ただ、彼にとっては私が合コンに参加することが意外だったらしく、そこにとても驚いているようだった。
『なんだ、恋愛する気はちゃんとあるんだね』
「ううん。どちらかと言えば人間観察をしに……」
『なにそれ。そんな感じで参加して、好みでもない男に言い寄られたらどうするの?』
「………………どうするんだろう……」
考えてもみなかった。
私に言い寄ってくる人なんているのかな。
いや、そうそういない気がする。
『あなたそこそこ美人なんだから、それくらいの覚悟決めて参加しないとね』
「……褒められてる気がしない」
『褒めてるよ』
何もかもが胡散臭い弘人に言われる言葉なんて、誰が信じますか。
『まぁ、検討を祈る。何かあったらいつでも連絡して』
彼はお気楽な口調でそれだけ言って、電話を切ってしまった。



