2番目じゃなくて、2度目の恋



公務員か。
確かにこの年齢になると、恋をするなら結婚も視野に入れるようになってくる。
なるべくまともな会社に勤めてる人がいい、いや将来安泰を約束された会社に勤めてる人がいい、ううん、もっと言うなら公務員なら倒産の心配は無い。


恋人が出来なければ出来ないほど、理想は高くなっていくものだ。
美鈴に婚活宣言もしたことだし、受けるのも悪くないかもしれない。


ほんの一瞬、弘人が恋人であることを思い出したけれど。
まぁ偽恋人だし、別にいいか。


「じゃあ、行ってみようかな……。私なんかで大丈夫ですか?」

「え!ほんと!?助かる~!大丈夫に決まってるじゃない!水戸さん美人だからみんな取り合いになっちゃうわよ」


吉川さんが時々口にする「美人」発言。
これはどうも本音では無さそうなんだけど、あえて突っ込まないことにしている。
そんなことありませんから、とそれだけ返しておいた。


「私、今回は気合い入ってるのよ!大人っぽいワンピ買ったんだ~」


だいぶ本気モードの吉川さんとは対照的に、私はどちらかというとお試し気分でOKをしたつもりだった。


合コンとはどんなものなのか。
初対面の複数の男女がどのようにして恋の駆け引きをするのか。
まるでドラマや映画でも観に行くくらいの軽い気持ちで受けただけだった。


そして、幼なじみでもなく、見合い相手でもない男性と私はどんな会話を交わすのか。


まさに未知の世界だった。