2番目じゃなくて、2度目の恋



最初から本気で付き合ってなんかいなかった。


まぁ美人だし、それなりに所作も綺麗だし。
この人と並んで歩けば何かあっても沙織にも堂々と紹介出来る。
胸を張れる。


そう思っていた俺がバカだったんだ。


彼女の新たな内面を見つけるたびに俺に似てると親近感が湧き、そして徐々に違いが見えてきた。


ちっぽけな考え方をしている俺と、佑梨は違うんだ。
似たもの同士だと思っていたけど、それは違うんだ。
彼女は前に進もうとしているから。
その場に立ち止まっている俺とは違う。


仮に………………。


仮に俺が彼女を好きになったとしても、また『2番目』。


だからなんの意味もない。









そこでふと思い出した。
彼女が1ヶ月前に俺に言っていた言葉。


「もう2番目は嫌だから」


あれって、佑梨はまた恋人がいる誰かを好きになりかけてるってことなんだよな。
じゃあそいつのことは諦めるのかな。
もしも好きになったら、確実に『2番目』になるってことだもんな。


でも本気で好きになる前に、俺との関係を解消するってなんの意味があるんだ?
そんなにその人に誠実でありたいのか?


本人に確認出来ないんだから、考えてても仕方ないのに。