それなのに。
そうさせてくれない、この親戚。


そう、俺の叔父だ。


「よっ、弘人くん。どうだい、水戸さんとこのお嬢さんとは!うまくやってるかい?」


お盆の時期はどうしても墓参りをしなきやならない。
そうなると必然的に墓から近い叔父の家に行かなきゃならない。
年末年始然り、お彼岸期間然り、お盆期間然り。


ものすごいもてなし料理を作ってくれる叔母には申し訳ないけど、口うるさい叔父を目の前にして食欲が一瞬にして失せた。


「ほっといてくれませんか」


ボソッと言って、賑やかに話をする親戚たちに紛れようと叔父から顔をそらす。
ところが話し好きでおせっかい好きの叔父がそれを許すわけもなく。


「なんだなんだ、喧嘩でもしてるのか?いいお嬢さんだろ〜?いやぁ、まさか付き合うことになるなんて思ってなかったから嬉しくてねぇ。早くきちんとした形で会いたいなぁ」


ペラペラしゃべる叔父の言葉を聞きながら、一体いつの話をしてるんだとイライラしてくる。
もう1ヶ月も前に『偽恋人』の関係を解消してから、会っていないし連絡も取っていない。


おおかたさっさと結婚まで話を持ち込んで、仲人みたいなことをしたいんだろう。
今時そんなの古くてやってられない。


「ほっといてくれませんか」


俺は、さっきと同じセリフを淡々ともう一度口にした。