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奇妙な事件は突然に始まった。

体に傷一つ無い男の死体が、次々と発見され
るようになったのだ。

男は皆美しい顔立ちをしており、閉じた左の目の下には必ず真っ赤なグロスのキスマークと、爪で引っ掻いたような跡があった。

これまでの被害者は両の指でも数え切れないほどになり、ニュース番組の話題はそのことに持ちきりだ。

犯人は同一人物だと思われるも、それ以外の痕跡は全くといってなく、それを嗅ぎ付けた記者達は「キスマーク殺人事件」として話を大きくし、男達を震え上がらせるのだった。

『キスマーク、犯人捕まらず』

新聞の無駄に装飾された見出しに