全力で走るなんてこと滅多にないから、息が切れて仕方ない。 外は小雨が降っていた。 だけど私は足を止めることなく走る。 大嫌いな両親の元へ。 慌ただしく玄関から上がりリビングの扉を開く。 中に居たのは、ソファに座って俯く両親だった。 ママが私に気付く。 久しぶりに真っ直ぐに見るママの顔は、驚くくらいに疲れていて、少し老けたようにも見える。 「……綾香」 「……ただいま」 するとパパがゆっくり顔を上げた。 「すまない、綾香」