虹色ファインダー


翌日は土曜日で、私は公園には行かず奏次郎の個展に訪れた。

最終日だし、奏次郎は居るのかな……
あかりさんも来てたりするのかな……

会場をぐるり見渡すと、それらしい姿がないことを確認できたので私はホッとした。


一枚一枚、簡単な解説と共に壁にかけられた写真を眺めてゆく。

はにかむような白人の子供と老人の写真はどこか悲しげに。

光に照らされる雨上がりの路地を歩く猫は何か企んだ顔。


それぞれの写真に、それぞれのストーリーがある。
それぞれの想い、感情がある。

何時間でも何枚でも見たいような気持ちになってしまう。

写真の数が限られていることが、なんだか憎らしい。