例えばだけど。 例えば奏次郎が私を撮ったとしても。 こんなにキラキラした写真にはならないだろう。 目がくらむほど、眩しくなんてならないだろう。 しばらく写真を見つめていると、奏次郎が大きく伸びをした。 私は慌てて写真を奏次郎の鞄に戻す。 「……ん、綾香。来てたのか」 「うん、さっき」 奏次郎はのっそりと起き上がると、ポケットから煙草を取り出して火をつけた。 「目覚めの一本が旨いわー」 ほんと呑気だね、オッサン。 奏次郎の煙草の煙りを見つめながらも、瞼にはさっきの写真がチラついていた。