私が食い入るように写真を見る横で、奏次郎はぼんやりと煙草を吸っていた。
時折煙りで輪っかを作っては私に見せる。
写真と奏次郎と煙草の煙りを見比べながら思った。
この人はどんなことを思いながらこれらの写真を撮ったんだろう。
無垢な子供のキラキラした笑顔や、滲む夕日に照らされた花や、空を水面に抱いた湖なんかを。
何を思いながら撮ったんだろう。
私は視線を写真に置いたまま、奏次郎に問い掛けた。
「ねぇ奏次郎」
「んー?」
「奏次郎は写真で気持ちを表現するって言ったけど、一体何を思って、どんな気持ちで撮ってるの?」