私の目の前にあの桐沢奏次郎が居る。
ほんとに信じられない。
昨日写真をつまらないって言われたことは頭に来たけど、それより話がしたかった。
「ねえ、奏次郎」
「呼び捨てしてんじゃねえよ」
「あんたいつまでココに居るの?」
奏次郎の言葉に構ってる暇なんてなかった。
私は若干身を乗り出して奏次郎を見つめた。
「今、個展やってんだ。そいつが終わるまでかな」
個展やってるんだ……
終わるまでに、私と奏次郎の写真がどう違うのか、知りたい。
「私、あんたみたいな写真が撮りたい。何が違うのか知りたい。分かるまで、毎日来るからね」
そう言い残して立ち上がった。明日も会いに来ると心に決めて。


