虹色ファインダー


不満げな私の表情を見抜いたのか、男は続ける。


「俺達は写真で自己表現するんだ。音楽家は音で、詩人は言葉でそうするみたいに」


私はまたアルバムに視線を落としてページをめくる。

寂しげだったり、まぶしかったり、温かかったり。
これが『伝えたいこと』?


「私のはどうしてダメなの」


男は薄く笑う。
いやらしくではなく、見透かすように。


「俺のが心の声だとしたら、お前のはキレイゴト。つまりそういうことだ」


キレイゴト。
そんな遠回しな言い方じゃ、私馬鹿だから分からないよ。