「貴様……私に何の恨みがあると言うのだ!!!!」

「キャァァ!!すいません!!」

…………………ん?

「って、なんで私が怒られてるんですかっ!!というか、貴方一体人の部屋で何してるんですか!!」

だいたいこいつが私のいない間に部屋に入ってたのが一番の要因じゃん!!

いや、私が居る間でも十分問題なんだけどね!?

「何をほざいている、ここは私の家だ。」

……は?

いやいや、そんなドヤってされても。

一応、万が一ということもありえるので家の表札を確認してみる。

『神戸』

うん。

間違いなく私、神戸咲(カンベサキ)が一人で住んでいる家だ。

家の中だって、床に転がっている消臭剤のからと、あたりに漂う異様な匂いを除けばいつもと変わらぬ慣れ親しんだ我が家である。

もちろん、同居人なんていない。

………と、言うことはやはり

「キャァァァァ!!変態ー!!!!」

「待て、女!!叫ぶな!!」

「叫びますよ!普通!!」

「とりあえず、静かにしろっ!!」

危ない、危ない。

あまりの変人さについ、突っ込みにまわってしまっていたが、人の家に勝手に上がりこんでなおかつ、そこを自分の家だと言いはるなんて、

まごう事無き危険人物だ。

変態さんは、私の背後に回り込み、

「ンンン!!?」

抱きかかえるように片手を回したあと、もう片方の手のひらで思いっきり、私の口を塞いだ。

「女!静かにしないと、俺が変態かなにかのように民衆共から勘違いを受けるではないか!!」

それが狙いですけどね!!??

この状況で他の理由で叫ぶ人間はいないと思う。

「女、もう一度言う。静かにするんだ。」