「おかえり」

(え!?今…え?!声が…した!!?)

虚しく響く予定だった私の声に返答が来た。

太い男性の声で確かに “おかえり” と。

(…これはもしかして…いや、もしかしなくても、変態さんが中にいるっ!!??)

一人暮らしを初めて早2年。

いつかこんな日が来るかもとは思っていたが、まさかそれが今日になるとは…!!

とりあえず、手短にあった玄関掃除用のほうきと、“下駄箱用消臭剤EX−太陽の香り−”を持ってみる。

が、臆病な私にはこれ以上何も出来ない。

タン、タン、タン

完全にフリーズする自分。

ゆっくりと、だが確実にこちらに向かって来ている足音。

(来るっ!!!!!)

足音の根元が見えた瞬間、

私の手にあったはずの“下駄箱用消臭剤EX−太陽の香り−”が宙を舞っていた。

「キャァァァァーーー!!!!!!!」
「ゥオァァ!!!!」

そして、そんな2つの叫び声と共に、辺りは太陽の香りで包まれたのだった。